わが町のランドマーク

神奈川県という以外、特に接点が無いこの地に居を構えたのは2007/05の事だった。
当時は色々あって、あまりゆっくり選んだという気はしないのだけど、それでも三方を海に囲まれたここは「どん詰まり」だった自分の境遇とよく似ていて、何故かしっくりと来た。
そしてどん詰まりな海から立ち上がる断崖にある公園に設置された2本の風車は、買うと決めた家のベランダからもよく見えていたのだった。

とある年の初日の出前と風車をベランダから撮影

ここは風光明媚と言うと聞こえはいいが、まあ自然しか売りのない田舎だ。
海に囲まれた半島には高い山もなく風通しがとても良い。
そして人もいなけりゃ漁業農業が主な産業であるこの町に建てる大きな人工物といえば「風力発電の風車」となったのもある意味必然かもしれない。
我々が一家が越してくる10年も前、1997年にそれは完成したそうだ。

冬の夕暮れ
風車公園に行くと遊具があり、子供らが走り回るのに十分すぎる広い芝生と休憩するためのガゼボ(四阿)、あと海を眺める展望台が設置されていた。
風車の下に行くと風切り音と発電機が奏でる低い唸りが聞こえてきた。
回る羽と遊ぶ子供を交互に、ずっと、ずっと、ぼーっと眺めていることもあった。

風車と遊具と次女(2歳ごろ)
娘たちが成長するに従って遊び場所は変わっていったが、自分はいつもの通勤路で行きも帰りも風車を眺めて過ごした。

転勤で打ちのめされ帰ってきた一家も出迎えてくれた
しかし最近、故障のため風車は止まっていることが多く、ついには昨年6月から一度も稼働することがなくなった。
設置から21年目を迎えた今年、ついに部品調達とメンテナンスに係る費用のめどが立たず、撤去するということに決まったそうだ。
二機で自分の住んでいる町内の半分くらいしか電力を賄えていなかった小さな風車。
それでも町のシンボル、ランドマークになっていたこの風車。
撤去は寂しいが、それもまた斜陽にあるこの町の必然なのかもしれない。

お疲れ様、わが町のランドマーク。

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