AKIHABARA IS DEAD

例えばHDMIポートの付いたキャプチャボードが欲しいとする。
あくまで例えばの仮定であって、実際欲しいかというと定かではない。
まあスプラトゥーン2のプレイ動画をキャプチャして反省したいとかそういった要素に使えにこともないし、何ならユーチューブにアップして見てもらうことも可能だ。
だからぶっちゃけ欲しい。欲しいったら欲しい。
そう思い立って先ず行うのがAmazonの検索だ。
HDMI キャプチャボード」と入力してエンター。
実に簡単にみつかる。

アフィリンクもさっくり作れる。
1-Clickボタンなら何も考えずに明日には家に届く。
さてぽちっとな。
とはいかない。
なにせ妻帯者である。しがないサラリーマンの身の上である。
1万円もするものが自分のいない間に届いてしまうと、色々とアレなことになる。
なによこのはこへーきゃぷちゃぼーどー??ふーんいるのひつようなのしぬの
とAmazonマークの入った箱の角であたまをゴンゴンされながら問い詰められるのだ。
子どもたちに見つかってもまずい。
小中学生の最近の人気職業、ユーチューバーになれるチャンスとばかりに機械を占拠するかも知れない。
特に上の娘は大事な受験を控えており、ゲーム実況にうつつを抜かすようになっては困るのだ。
ユーチューバーはやめい。
俺が使うんじゃ! 俺がユーチューバーになるんじゃ!
どうしても秘密裏に手に入れなければならない。
さてどうしたものかと思っていると、偶然にも秋葉原へ行く用事が発生した。
そうか、実店舗で買えばひっそりとお持ち帰りして、こっそり取り付けて裏垢で配信できるじゃないか。
時間を調整して早めに秋葉原駅に到着した俺は意気揚々と電気街口を抜けていつもの風景を目の当たりにした。
そして思うのだ。
……キャプチャボードってどこに売ってるの?
プライズグッズを扱ったUFOキャッチャーが並ぶゲーセン。
アニメや同人誌、同人グッズなどを扱う専門店。
大食い御用達、デカ盛りの飲食店。
メイドカフェいかがですか忍者カフェでござるいかがでござるか廃病院カフェです今なら血液パック1つ無料ですなどという可愛らしいコスをした呼び込み。
えっと、電気街口だよな。
とは言っても秋葉原、端っこまで行けばどこかに売ってるだろう…。
そして俺はいつもの裏側を歩いて行き、ジャンク通り端っこの行きつけ漫画喫茶の前で呆然と立ち尽くしかなかった。
Amazonで検索すると888件ヒットする、HDMIキャプチャ。
ねえし。
いや売ってたのかも知れない。
けど、見つけられなかった。
見つからないのだ、どこへ行っても。
ましてや先のリンクにある日本語怪しい説明が付いて大手メーカーよりちょっと安いような「ザ・アキバ」という商品。
無いのだ。
そんなはずはない、きっとPCIに刺す本格的なものなら自作PCパーツショップにあるはずだ。
今来た道を戻り手頃な店に入り直す。
玄人志向のパッケージを見て愕然とした。
他の有名メーカのものと何ら変わりない、きれいなパッケージ。
いつからこんな事になってるんだ。
クロシコと言えば木根尚登似の似顔絵のついたダンボール然としたパッケージに商品名のみ。
あれこれ説明が必要なら買わないでねと書いてあるアレだ。
説明にコストが必要なくなったのかもしれない。
半導体の信用性自体が上がったので相性問題なども出にくいのかも知れない。
けども、他と同じように売っている「玄人志向」になんの意味があるのか。
失意の中店を出て本来の目的地に足取り重く移動を開始する。
そして思い知る。
「メイドカフェいかがですか」
とすら話しかけられない自分が老いてしまい、最早ここの住人であることはないのだと。
秋葉原が死んだのか、俺の心が死んだのか、それはわからない。
少なくとも秋葉原に来て「俺の欲しい物」は手に入らないのだと悟ったのだ。

プライズUFOキャッチャーのとあるコーナーに老倉育のフィギュアを見つける。
おもむろにスマホを取り出し、Amazonアプリに「老倉育 フィギュア」と入れて検索する。

もうここにwktkしながら来る日は来ないのだろう。
俺は静かにキャプチャボードをポチる決断をした。

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